2010年3月3日水曜日

かすやキッズネット2009年3月号

今回は「インフルエンザ」について。ヒトインフルエンザウイルスは冬季に世界各地で流行を繰り返し、人口の520%が罹患するといわれています。13日間の潜伏期間の後に突然38℃以上の高熱が出現し、頭痛・倦怠感などの全身症状が強いのが特徴です。診断キットを用いれば10分程度で診断できるのですが、発病早期(半日以内)では診断できないことがあります。発病は小児に多く、健康な人には抗ウイルス薬がなくても4〜5日間で軽快し、また抗ウイルス薬は発熱期間を1日程度短くする効果があるといわれています。なお解熱が2日間確認できれば3日目より登園・登校が可能となります。数は少ないものの重い合併症である脳炎・脳症は1〜5歳の幼児に多く、ワクチンや抗ウイルス薬の効果は不明とされています。発熱2日以内の早い時期から反応に乏しい・けいれん等を認める場合には注意が必要です。死亡例は高齢者に多く、その多くは肺炎の合併によるものです。日本でのインフルエンザワクチンは1994年より任意接種となり、現在のワクチンの基本的な考え方は<リスクの高い人たちの重い合併症や死亡を予防する>ことであり、全国民のインフルエンザ発症を予防することではありません。現在のワクチンでそこまでの効果を求めるのは困難と考えます。接種に当たっては、①発病時のリスク(高齢者の肺炎や幼児の脳炎・脳症)②ワクチンの有効性(一般に乳幼児へのワクチンの効果は低い)③高齢者や幼児の周辺の人々へのワクチン接種も検討・・・などがポイントと考えます。* 新年度より当クリニックではお母さん方を対象とした健康教室を企画中です。次号で案内予定です。ふたばこどもクリニック院長:とねがわやすひこ