2015年11月17日火曜日

キッズネット12月号

今月(第80号)は『ウイルス性胃腸炎』です。

初冬よりウイルス性胃腸炎が流行するのですが、福岡地区でも10月下旬より流行しているようです。このウイルスは環境耐性があり、また感染力が強いため、ウイルス汚染物(便・吐物)との接触で胃腸炎の集団発生がおこります。ウイルスはヒトの小腸内で急速に増殖し、1248時間の短い潜伏期間で発症します。症状は嘔吐・下痢・発熱・体のだるさ等であり、特に小児では成人に比較して嘔吐が強い傾向です。治療は有効な抗ウイルス薬はないために、症状を緩和する対症療法で経過を見ていきながら判断します。実際には吐き気の強い最初の数時間は、水分も含めた経口摂取を制限し、その後少量ずつ・ゆっくりと経口摂取を開始していきます。吐き気が強い時は、吐き気止めの薬を使うこともありますが、殆どは半日以内をピークに2〜3日間で軽快していきます。嘔吐が出現してすぐに病院を受診される方もいますが、嘔吐しだしても数時間以内であれば、まずは上記の方法で様子をみられてはいかがでしょうか。親御さんより「脱水が心配」という声をいただきますが、経口摂取の低下が数時間ある程度ではすぐには脱水にはなりません。ただ、嘔吐を繰り返す・元気がない・ぼーっとしている・・・ということが半日以上続くようであれば早目に病院を受診して下さい。