今月(第46号)は『乳幼児の鉄欠乏性貧血』です。
【はじめに】生後8〜10ヶ月の赤ちゃんの約10〜20%に鉄欠乏を認めるという報告があります。鉄欠乏状態が続くと貧血になりますが徐々に進行するため、「顔色が少し悪いようだが元気はあるから」とそのままに過ごされているケースも多いようです。【鉄とは】鉄は赤血球の主要な材料であり、また発達・感染防御にも役割を果たしている大事な栄養源です。しかし自分で産生できないので食事で摂取しなければなりません。赤ちゃんの食事は母乳やミルクですが、鉄の含有率や吸収率を考えると十分な量ではないようです。また乳児期後半には離乳食が始まりますが、十分な鉄を摂取できるようになるまでには時間がかかります。したがって多くの赤ちゃんは胎児期にお母さんから受けとった鉄分を体のなかに蓄え、それを出生後に使いながら「鉄のやりくり」をしているのです。【鉄欠乏性貧血】もともとの鉄の蓄えが少ない場合や体が大きくなって鉄の需要が増えてくると、生後6ヶ月頃より鉄欠乏状態になってくる場合があり、さらに進むと鉄欠乏性貧血になります。【治療】鉄不足の程度によっては鉄剤を補完食として数ヶ月間与えるのが良いと考えます。