2023年9月23日土曜日

 かすやキッズネット10月号

 今月(第174号)は『たばこの誤飲』です。

子どものタバコの誤飲で問題となるのは

急性 ニコチン 中毒です。


大人は加熱・燃焼により発生した煙・蒸気中の

ニコチン を摂取しますが、子どもの誤飲では

製品そのものからダイレクトにニコチンを摂取してしまう

ため急性中毒の恐れがあります。


タバコ葉を摂取した場合は30分〜2時間以内に

症状が出現し、

タバコを水に浸した浸漬液を摂取した場合

もっと早く20分以内に出現するようです。


症状は消化器症状の悪心・嘔吐が多く、

摂取後2〜4時間経過しても、

元気で嘔吐・悪心なければ

中毒症状出現の可能性は低いと考えても

いいでしょう。


通常、紙巻きタバコを子どもが誤飲した場合、

苦みで吐き出したり、嘔吐によってタバコ葉が

吐き出されるので、重度の中毒症状が出現する事は

少ないようです。


ただ浸漬液の場合は速やかにニコチンが吸収される

ので注意が必要です。


最近は紙巻きタバコではなく、加熱式タバコが多く

なってきました。この場合はタバコ葉の形状のため

容易に摂取しやすくなっており、

また製品によっては薄い金属片が内包されている

ものもあり、消化管損傷の可能性もあるため

より注意が必要です。


もし医療機関を受診する場合は、

同一製品(パッケージも含む)を持参して下さい。



*この記事は粕屋町社会福祉協議会が毎月発行している

<かすやキッズネット>に連載中です


 

2023年8月18日金曜日

かすやキッズネット9月号

 今月(第173号)は『経口 抗コロナウイルス薬』です。

                             

8月に入りコロナウイルス感染症の患者さんが増えてきました。


今回は小児に適応のある 経口 抗コロナウイルス薬 がテーマです。


現在日本で小児に適応がある経口薬 (飲み薬は以下の2剤です。


【ゾコーバ】

日本の製薬会社が開発した昨年11月に緊急承認された薬剤です。

12歳以上の方が対象です。他の薬剤は重症化リスクがある方への

投薬という制約がありますが、本剤にはそういう制約がありま

せん。重症化抑制効果は不明とされており、薬剤効果は発熱等の

症状を1日程度短縮するといわれています。

発症初期(3日以内)の投薬開始が必要です。併用禁忌・注意薬が

多く、妊娠の可能性がある女性・妊婦への投薬も禁忌です。


私個人は小児、特に重症化リスクの低いお子さんの場合は

投薬は慎重に判断すべきと考えています。


【パキロビット】

小児では12歳以上かつ体重40kg以上の重症化リスクのある方

対象です。重症化リスクとは慢性呼吸器疾患・難治性喘息・重篤な

心疾患・腎疾患・神経筋疾患・血液免疫疾患などです。

重症化予防効果はかなり高いようです。ただ併用禁忌・注意薬が

多く、腎機能障害がある方への投薬も慎重に行います。


上記内容は8月上旬の情報を元に記載しました

かすやキッズネット8月号

今月(第172号)は『夏かぜウイルス』です。

                             

7月に入りました。

アデノウイルス・エンテロウイルスなど上気道症状が強い感染症、

RS・ヒトメタニューモウイルス・パラインフルエンザウイルス・(エンテロ)ライノウイルスなど

下気道症状が強い感染症、少数ではありますがコロナウイルス

感染症、など多様な感染症が続いています。


小児入院医療機関の病床も厳しい状況が続いているようです。


タイトルの『夏かぜウイルス』ですが

代表的なウイルスとしてアデノウイルス、エンテロ/ライノウイルスがあります。

どちらもエンベロープ(ウイルス外側の膜)を持たないためアルコール消毒の

効果が弱く、流水による物理的・強制的な排除が必要です


エンテロウイルス属 は ヒトエンテロウイルス(HEV)と ヒトライノウイルス(HRV)2つを

包含し、それぞれ100種以上の型が知られています。


ヘルパンギーナや手足口病のウイルスは

HEV-Aに属し、小児で下気道症状にも関わるライノウイルスは

HRV(-C) に属します。


診断は症状・所見・流行状況から推測し治療は対症療法です。

重症例では入院も検討します。


有効な抗ウイルス薬がなく、2次医療機関の病床も十分でない

状況では予防が大切です。アルコール消毒だけでなくこまめな

流水による手洗いや (可能であれば)うがい等による自衛の

意識が大切と考えます

 

かすやキッズネット7月号

 今月(第171号)は『熱中症』です。

                             

熱中症とは「暑い環境で身体が上手く適応できずに起きてしまう

状態を総称したもの」で、暑さに身体が慣れてない56月頃より

認めます。<労作性>と<非労作性>(日常生活での発症)2つが

あり、重症度はⅠ〜Ⅲ度に分類されます。


【Ⅰ度】「めまい、立ちくらみ、顔色蒼白、頭痛、手足のしびれ・

冷感・こわばり」等です。意識障害は認めず「きつがっているが、

呼びかけにはきちんと返答できる」というイメージです。

発汗による体液の喪失と暑環境下での末梢血管拡張作用による

脳血流の一時的な減少、それに関連する自律神経の障害と考えら

れます。涼しい環境で安静臥床(足を挙上)・ぬれタオル等による

クーリング・水分(経口補水液)を摂取をさせていけば改善して

いくケースが殆どです。ただ症状は時間とともに変化していきます。

症状が改善しなければ医療機関を受診してください。


Ⅱ度】Ⅰ度より重症化し、意識障害「ぼーっとして反応が鈍い」

が顕在化してきます。高体温による臓器障害が強くなる可能性が

あるため医療機関を速やかに受診してください。

かすやキッズネット6月号

 今月(第170号)はHPVワクチン (9):その2』です。

 

【接種スケジュールの考え方】


2.これまでHPVワクチンを接種したことがない方

 ①接種日が「12歳になる日の属する年度の初日

        〜15歳の誕生日の前日」の場合:

2回接種  接種間隔は5ヶ月以上

*接種間隔が5ヶ月未満の場合は 3回接種

 ②接種日が「15歳の誕生日16歳となる日の

属する年度の末日」の場合:

3回接種 1回目と2回目の接種間隔は1ヶ月以上

       2回目と3回目の接種間隔は3ヶ月以上

    *標準的な接種スケジュールは

2回目は1回目から2ヶ月後

     3回目は1回目から6ヶ月後

 

(注)4/1生まれの方の接種開始日や接種最終日の

考え方やキャッチアップ接種になどについて

不明な点がある方は粕屋町に問い合わせ下さい。

かすやキッズネット5月号

 今月(第169号)はHPVワクチン (9):その1』です。

                             

HPVワクチンとは子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス

(HPV)の感染を防ぎ、子宮頸がんの発症を防ぐワクチンです。

従来の2価・4価のHPVワクチンに加え、9HPVワクチン

(9種類のHPVに対するワクチン4月から定期接種として

スタートしました。本ワクチンによって子宮頸がんの原因となる

HPV感染の8090%を防ぐといわれています。


【対象者】

・定期接種対象者:12歳になる年度の初日〜

16歳になる年度の末日に属する女子

・キャッチアップ接種対象者:H9(1997)42日生まれ

H20(2008)41日生まれの女性でHPVワクチン

を合計3回接種していない方は残りの回数をR7

(2025)3月末までは定期接種として接種できます。


【接種スケジュールの考え方】

1.これまでHPVワクチンを1 or 2回接種したことがある方

➡ 合計3回となるように残りの回数を接種できます。

2価・4価ではなく9HPVワクチンでの接種も可能です。

(次号に続く)

(注)不明な点は粕屋町に問い合わせ下さい

かすやキッズネット4月号

 今月(第168号)は4月からの定期予防接種の変更』
です。

                             

20234月から 以下の定期予防接種が変更されます。


4種混合ワクチン】生後2ヶ月からスタート へ変更。


HPVワクチン】従来の2価・4価ワクチンに加えて

9価ワクチンが定期接種として接種可能となります。

この9価ワクチンは・・・

・対象者:12歳になる年度初日から16歳になる年度

末日に属する女子

・接種回数:3回接種(2回接種は協議中)

標準的な 接種間隔:2回目は初回接種の2ヶ月後

3回目は同6ヶ月後

・交互接種:すでに2価・4価ワクチンで定期接種の一部を

終了している者が残りの接種を9価ワクチンで

接種することも可能(医師と協議の上)

2回接種:対象者・接種間隔は協議中


(注)9価のHPVワクチンは3月上旬時点 では不明な点が

あります。また紙面のスペースの制約上、要点のみを

記載せざるを得ません。不明な点や詳細に関して

は粕屋町に問い合わせください。