2022年1月23日日曜日

かすやキッズネット2月号

今月(第154号)は

『おたふくかぜワクチン(その2)』です。

                     

糟屋地区におけるおたふくかぜ流行の実態

調査(疫学調査)を行うに当たって一番頭を

悩ませたのは調査対象集団の設定でした。


なぜなら調査対象の設定が疫学調査の土台

となるからです。


とはいえ “おたふくかぜの疫学調査として

17町に及ぶ自治体の小児を、同一条件で

もれなくカバーする調査” というのは日本

では前例がなかったので、自分なりに悩み

ながら関係機関に提案し協議していきました。


最終的には調査対象を『当地区における

小中学校52校』としました。

(理由は各自治体の同一年齢のほぼ全集団を

対象にでき、また第2種学校感染症である

ため実数を把握しやすいからです)


早速2017年春に地域の保健会の皆様に

2016年度のおたふくかぜ流行状況の情報提供

と実態調査の提案を行いました。


幸いにも保健会の皆様の調査趣旨へのご理解

を頂き、アンケート調査を行い、速やかに

結果の集計を行うことができました。


結果は・・・


2016年度の糟屋地区(17古賀市・新宮町・

久山町・粕屋町・篠栗町・志免町・須恵町・宇美町)

の 全公立小中学校 52校、生徒数27,857人の内、

おたふくかぜ罹患者は1,045人でした。


(次号に続く) 


*この記事は粕屋町社会福祉協議会が毎月発行

 している <かすやキッズネット> の

 『まちのお医者さん』に連載中です。

2021年12月21日火曜日

かすやキッズネット1月号

 今月(第153号)は『おたふくかぜワクチン
(その1)』です。

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。

昨年4月から始まったおたふくかぜワクチンの出荷
規制が12月にようやく解除されました。

粕屋町では2019年6月から接種費用の一部助成
制度が始まり、2021年度からは対象者が就学前
の幼児まで広がりました。
また古賀市・篠栗町でも2020・2021年度から同様
の制度が始まりました。
そこでこれから数回?にわたり本制度が開始さ
背景について少々述べていきたいと思います。

6年前の2016年は糟屋地区(17ではおたふく
かぜの大流行がありました。
そこで当時福岡県が公表しているサーベイランスデータ
糟屋地区に絞って再集計してみると、
糟屋地区において非常に強い流行が確認されま
した。(ちなみに同年7月には警報レベルの報告
数もありました)

おたふくかぜは一般に予後良好な病気ですが
注意が必要な合併症として髄膜炎・精巣炎等が
あります。特に難聴は強い聴力障害を認め、
治療法がないため高度の聴力障害が残ってしま
います。難聴の発症率はおたふくかぜ1000人に
1人程度と言われていますが、流行状況によって
は発症率はもっと上昇すると言われています。


そこで2017年1月に糟屋地区におけるおたふく

かぜ流行の実態調査を関係団体・公的機関へ

提案し模索していきました。(次号に続く) 



この記事は粕屋町社会福祉協議会が毎月発行

 している <かすやキッズネット> の

 『まちのお医者さん』に連載中です。

2021年11月21日日曜日

Christmas tree

例年よりちょっと早めに飾り付けをしました!



2021年11月20日土曜日

かすやキッズネット12月号

 今月(第152号)『赤ちゃんと蜂蜜:乳児ボツリヌス症』です。
                           

『赤ちゃんが蜂蜜を舐めましたがどうしたらいいですか?

 乳児ボツリヌス症を心配された問い合わせをいただきます.


以下本症のポイントを示します


ボツリヌス菌は芽胞という硬い種子のような形態で土壌・川に

広く存在します. 真空パック・瓶缶詰中の存在が有名ですが

野菜・果物等への付着もありえますただ芽胞を摂取しても

通常は人間の腸内細菌の働きで菌は増殖できずボツリヌス毒素

も産生されずにおわります

例外的に赤ちゃんは腸内細菌の働きが未熟なため毒素が

産生されて発症する可能性があります.


症状は330日の潜伏期間の後に, 35日以上続く便秘を

認め,その後活気低下・哺乳低下へと進展し

眼瞼下垂・無表情・体幹や手足の麻痺に至る場合があります.

 時に呼吸管理が必要な場合もあり注意深い観察と対応が

必要なケースもあります.


【蜂蜜が原因?】

蜂蜜を摂取した乳児の本症の発症頻度は不明です.

ただ最近30年間の報告を見ると本症と蜂蜜摂取との関連が

明らかな事例は少ないようです

(ちなみに市販の蜂蜜製品中にボツリヌス菌が混在しているのは

数パーセント以下?という記事を読んだ記憶がありますが・・・

従って赤ちゃんが蜂蜜を舐めてしまっても慌てずに,

3日間以上続く便秘と 元気がない・哺乳の低下等に注意して

観察気になったら医療機関を受診することをアドバイスし

ています


この記事は粕屋町社会福祉協議会が毎月発行

 している <かすやキッズネット> の

 『まちのお医者さん』に連載中です。

2021年10月22日金曜日

かすやキッズネット11月号


 今月(第151号)は『食物経口負荷試験』です。                 

私のクリニックでは食物アレルギー(FA)のお子さんを対象に

月に数人のペースで経口食物負荷試験(OFC)を行って

います。ガイドラインでは原因食物の厳格な除去ではなく

「必要最小限の除去」を推奨しており、

症状を誘発しない・食べられる範囲までは食べる」

ことを奨めています。

従ってFAのお子さんには「OFCを行い食べられる量を

推測し、少しずつ摂取量を増やしていく」という段階的

解除を行っています。

以下に私のクリニックでのOFCの流れを簡単に記します。

    即時型症状に関する問診

OFCの適応ありと判断したらOFC説明・同意・予約

OFC当日はアレルゲン食物を少量ずつ3090分の間隔で

 摂取。誘発症状がないことを確認して帰宅。

④自宅で同食物を指定の量・回数・期間で摂取

⑤数週間後に増量した同食物で

OFCを行う・・・以上を患者さんの状態に応じて

数ヶ月間繰り返し、段階的解除を目指します。

お子さんによっては1年近くかかるケースもありますが、

多くのFAのお子さんは完全解除もしくは完全解除に近い

状態まで進むことができるようです。

もちろん重度のFAのお子さんの場合は慎重な対応が必要

ですし、専門医療機関との連携が必要となるケースも

あります。

 この記事は粕屋町社会福祉協議会が毎月発行している

  <かすやキッズネット> の『まちのお医者さん』に

 連載中です。 

2021年9月23日木曜日

かすやキッズネット10月号

 今月(第150号)は『インフルエンザワクチン』です。                           

10月から インフルエンザワクチン の接種がスタートされると

思います。(今年はワクチンの供給量が昨年の7割程度?

との噂もありますが・・・)

以下にインフルエンザワクチンのポイントを述べます。


【人間の免疫システム】

過去にインフルエンザの既往があっても感染してしまう

ケースがあるように、人間の免疫システムがインフルエンザ

ウイルスの抗原変異に十分に対応できていないと考え

られます。


【ワクチンの限界】

現行の不活化スプリットワクチンでは自然免疫系への刺激

がなく細胞性免疫の誘導ができないため、

ワクチンの効果は限定的になってしまいます。

インフルエンザ感染歴が少ない乳幼児にはワクチンの効果が

少ないのは当然です。またワクチンの製造過程での抗原性の

変異による有効性の低下(卵馴化)も指摘されています。


【ワクチンを接種する前に】

インフルエンザは人間が本来持っている免疫システムが十分に

発揮されれば、ハイリスク者でない限り多くの方は

重症化せずに軽快します。ご自身の免疫システムを低下

させないような体調管理を行ったり、感染機会に

配慮した上でのワクチン接種が推奨されます。


この記事は粕屋町社会福祉協議会が毎月発行

 している <かすやキッズネット> の

 『まちのお医者さん』に連載中です。

2021年8月20日金曜日

かすやキッズネット9月号

 今月(第149号)は『熱中症』です。                       

熱中症は「暑熱環境における身体適応の障害によって

起こる状態の総称」です。

スポーツ・仕事中に発症する<労作性>と

日常生活で発症する<非労作性>の2つがあります。

重症度はⅠ〜Ⅲ度に分類されます。


【Ⅰ度】「めまい、立ちくらみ、顔色蒼白、頭痛、

手足しびれ・冷感・こわばり」等が主な症状です。

基本的に意識障害は認めず、受け答えは可能です。

「歩けない位きつがっているが、呼びかけにはきちんと

返答できる」僕はイメージしています。

発汗による体液の喪失と暑熱環境下の末梢血管拡張作用

による脳血流の一時的な減少と考えられ、涼しい環境

安静臥床(足を挙上)・ぬれタオル等によるクーリング・水分

(できれば経口補水液)の摂取をさせながら経過観察します。

このような徴候を認めれば早目に涼しい環境で休ませま

しょう。症状は時間とともに変化していきます。

症状が改善しなければ医療機関へ受診してください。


Ⅱ度】Ⅰ度より重症化し意識障害「ぼーっとして反応が

鈍い」経口摂取不能 がより顕在化してきます。

高体温による臓器障害が強くなる可能性があり、

医療機関を速やかに受診してください。



この記事は粕屋町社会福祉協議会が毎月発行

 している <かすやキッズネット> の

 『まちのお医者さん』に連載中です。


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