今月(第116号)は『こどもの診療の10年間の変遷(その②)』です。
前回に続き今回もこの10年間のこどもの診療の変遷を振り返ってみよ
うと思います。
【食物アレルギー】
★診断:
血液検査(特異的IgE値)が診断の上で大きなウエートを占めていた
時期がありましたが、現在は不確実な指標と考えられいます。
現在の粗抽出アレルゲンに対する特異的IgE値では限界があり、偽陽性・
偽陰性が出てしまうケースがあるからです。
アレルギー症状に関連したコンポーネントに対する特異的IgE値であればより
精度の高い診断が可能になりますが、現時点では限定的に有用という
レベルです。今後の研究の進展が望まれます。
現在のスタンダードな診断手順は、まずは特定の食物に対する即時型症状
に関する詳細な問診からスタートします。
そして必要なケースにおいて血液検査や経口食物負荷検査を検討して
いきます。以上の手順を踏みながら総合的に診断します。
★管理:
かつては『食物アレルギー➡原因食物の除去(食べさせない)』が主
流でした。しかし現在は原因食物の厳格な除去ではなく「必要最小限
の除去」が推奨されています。「症状を誘発しない範囲内で食べる」
「食べられる範囲までは食べる」ということです。
実際には経口食物負荷検査を繰り返し行い、症状が誘発されない摂取
量を確認していきながら段階的に食事制限を解除していく・・・という
流れです。