2014年9月19日金曜日

出前講座のご案内


キッズネット10月号


今月(第66号)は『食物アレルギー』です。
私は、食物アレルギー(FA)に関してはまだその全体像が解明されていないため、現在のFA診療の目的はFAの管理であろうと考えます。ここでは、治療ではなく管理であることを強調したいと考えます。診断に関して言えば、外来で血液中の特異的IgE値の検査を希望されることがありますが、データと症状が一致しないこともあり、現時点では本値は不確実な物差しでしかないと考えられています。従って診断は、現実に食事を摂取した際の即時型症状の誘発の有無という<病歴>が一番の根拠になると考えられ、特異的IgE値はそれを裏付けるツールと考えます。FAの患者さんの多くは中等症以下であり、数年で軽快していきます。しかし症状・経過は個人差が大きいため、どうしても過度の検査・食物摂取制限の傾向があります。現在の我が国のFAガイドラインでは原因食物の厳格な除去ではなく、「必要最小限の除去」を推奨しており、「症状を誘発しない範囲内で食べる」指導を認めています。従って多くのFA患者さんの診療においては、食物負荷試験で耐性の程度を評価しながら、少しずつ制限解除を進めるという、治療ではなく管理が主体となってくるのです。(もちろん少数ではあっても重症の患者さんには厳密な管理が必要です)私個人はFAの診療は、診断・治療というよりも、管理の「道しるべ」を示すものであると考えています。*10/25土曜日14時より粕屋町福祉センターにて出前講座特別編として「食物アレルギー」をテーマに「お話会」を企画しています。皆様のご参加をお待ちしています(^^)