今月(第74号)は『食物アレルギー』です。
食物アレルギーに関してはまだその全体像が解明されていないため、現在の食物アレルギー診療の目的は食生活の管理であろうと考えます。診断に関して言えば、血液中の特異的IgE値の検査を希望されることがありますが、データと症状が一致しないこともあり、現時点では本値は不確実な物差しでしかないと考えられています。従って診断は、現実に食事を摂取した際の即時型症状の誘発の有無という<病歴>が一番の根拠になると考えられ、特異的IgE値はそれを裏付けるツールと考えます。食物アレルギー患者さんの多くは中等症以下であり、数年で軽快していきます。しかし症状・経過は個人差が大きいため、どうしても過度の検査・食物摂取制限の傾向があります。現在の食物アレルギーガイドラインでは原因食物の厳格な除去ではなく、「必要最小限の除去」を推奨しており、「症状を誘発しない範囲内で食べる」指導を認めています。従って多くの患者さんにおいては、食物負荷試験で耐性の程度を評価しながら、少しずつ制限解除を進めるという、管理が主体となってくるのです。(もちろん少数ではあっても重症の患者さんには厳密な管理が必要です)私個人は食物アレルギーの診療は、管理の「道しるべ」をいかに示せるかにつきると考えています。
2015年5月24日日曜日
キッズネット4月号
今月(第72号)は『発熱』です。
発熱は苦しいものですが感染症で発熱するのは生物としての生きる術であるため、「発熱=悪」と単純に捉えるとそこで思考がストップします。過度な解熱剤の投薬は体に良くないことに留意ください。そして以下の点(年齢・熱の高さ・病日・随伴症状等)に注意しながら経過を観察していきましょう。年齢では3〜4ヶ月未満の乳児では重症の細菌感染症が潜んでいるときがあるため、早目の検査・短いスパンで評価を行います。病日については、2〜3日以上発熱が遷延し元気がないようであれば、風邪以外の病気や合併症の可能性も考えていきます。(逆に発熱して間もなくて機嫌もよければ、しばらく自宅で経過観察されてもよいと考えます)乳幼児では発熱に発疹を伴ってくれば川崎病の可能性も考えます。咳・喘鳴などの呼吸症状が強ければ、呼吸のサポートも検討します。鼻症状・耳症状があれば中耳炎の可能性も考えます。以上を考えながら経過の中で判断していきます。発熱の多くはウイルス感染によるもの(いわゆる風邪)であり、特別な治療をしなくても2〜3日で解熱していく場合がほとんどです。現在はHib・肺炎球菌ワクチンが定期接種となっており、赤ちゃんの重症細菌感染症の可能性は以前に比較すると減少してきているのです。
ご挨拶
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、3月末に体調を崩してしまい、
約1ヶ月間、クリニックを休診していました。
子ども達・親御さんには御迷惑をおかけしまして、申し訳ありませんでした。
今後は僕自身の体調をみながらの診療となり、診療時間も以前に比べ短くなります。
今後は限られた診療時間の中での「より良い診療」を目指し 、
「お子さんのより良い育ち」に貢献できる診療を目指していきたいと考えます。
「かすやキッズネット」・「子育て出前講座」・各種健診等の保健活動にも
より注力していきたいと考えます。
今後ともよろしくお願いします m(_ _)m
ふたばこどもクリニック 院長
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