2017年12月6日水曜日

キッズネット1月号

今月(第105号)は『ノロウイルスの検査』です。

嘔吐下痢症が流行しており、ノロウイルスの検査を希望する方が
いらっしゃいます。そこで本検査のポイントを示します。

★検査キット(イムノクロマト法)
 メリット:短時間(1020分程度)で判定可能.
      簡便であり, 一般の医療機関で検査可能.
 デメリット:検査感度が不十分(特異度は高い印象・・・)
       → 検査結果が『陰性』の場合, 判断が困難.
       検体は, 病中期以降の便が望ましい.
       保険適応は, 3歳未満と65歳以上のみ.

PCR検査
 メリット:検査精度が高い.
 デメリット:時間がかかる(25日間程度)
       特殊な装置が必要.  限られた施設で可能.
       保険適応がなく, 高額な検査費用.

患者さんの病状と検査の特性を鑑みて検査適応を検討します。

当然「検査適応が不十分」と判断するケースもありますので

2017年12月3日日曜日

初冬の二景





          
今年も残すところあと1ヵ月

忘れ物がないようにする

GO!


2017年11月10日金曜日

キッズネット12月号

今月(第104号)は『インフルエンザワクチンは効く?』です。
      
インフルエンザワクチンは「効く?」「効かない?」の質問をよく受けます。
僕はこの議論のポイントは3点あると考えます。

【人間の免疫】
インフルエンザの既往があっても罹患するケースがありウイルスの抗原変異に
人間の免疫システムが十分に対応できていない。

【ワクチンの限界】
現行の不活化スプリットワクチンでは自然免疫系への刺激がなく、
細胞性免疫の誘導ができず、ワクチンの効果は限定的である。
つまりインフルエンザ感染歴が少ない乳幼児にはワクチンの効果が少ないの
は当然である。またワクチンの製造過程での抗原性の変異による有効性
の低下(卵馴化)も指摘されている。

【体調管理】
インフルエンザは人間が本来持っている免疫システムを十分に発揮すれば、
多くの場合1週間以内の罹病期間を経て軽快する。
またワクチンの効果もより発揮される筈である。
従ってインフルエンザ感染予防で一番大切なのは、
自らの免疫システムを低下させない日々の体調管理であると考える。

*「インフルエンザワクチンは効く?効かない?」は、「効く」の定義
 曖昧であり、条件・対象によってその結論は異なります。
 僕は日々の体調管をベースに感染機会へ配慮し、
 その上でワクチンを接種します。

2017年11月9日木曜日

ひなたの修了式

先日、盲導犬候補犬「ひなた」の修了式がありました。
無事訓練センターへ送り出しました。
我が家からの「卒業式」でした。

約11ヵ月の共同生活の中で
癒やされたり教えてもらったり気づかせてもらったり
と本当に貴重な時間でした。

*仔犬達が人間社会における社会性を身に付けていくべく
その最初の大事な期間をお預かりするわけですが、
そもそも人間様は自身の社会性というものを
どう考えているのかな・・・と感じたりもしましたが。

「ひなた」との散歩でのちょっとしたハプニングが楽しかった
のですが、それがなくなりインドア生活になりそうです・・・

これから「ひなた」は仲間達や訓練士さんとの
楽しい日々でしょう!

Go  for  it !!




おたふくかぜワクチン

先月のことですが
当地区におけるムンプス難聴の疫学調査
を発表してきました。

*9月に日本耳鼻咽喉科学会からムンプス難聴の全国調査結果が
 公表されたので、関心のある方もいらっしゃるかと思います。

僕は今回の当地区の疫学調査を通して以下のことを学びました。

・本症は、他人事・対岸の火事ではない。      
・ワクチンは見えない「メリット」と        
見える「デメリット」を十分に勘案すべきである。
 (ワクチンの副反応がゼロということはありえないが
         あっても多くは軽微な副反応である)
・疫学データをはじめとする数値はわかりやすいが、 
その内容を十分に検証すべきである。      
(分母や分子の数、偏り、定義など)       

いたずらに煽るわけではありませんが
おたふくかぜワクチンは大切だと思います。




2017年10月12日木曜日

キッズネット11月号

今月(第103号)は『食物経口負荷試験』です。

私のクリニックでは食物アレルギー(FA)のお子さんを対象に月に数人のペース
で経口食物負荷試験(OFC)を行っています。

ガイドラインでは原因食物の厳格な除去ではなく「必要最小限の除去」を
推奨しており「症状を誘発しない・食べられる範囲までは食べる」を
奨めています。
従ってFAのお子さんは「OFCを行い食べられる量を推測し、少しずつ
摂取量を増やしていく」という段階的解除を行っています。

以下に私のクリニックでのOFCの流れを簡単に記します。
  即時型症状に関する問診 
② OFCの適応ありと判断したらOFC説明・同意、OFCの予約 
③ OFC当日はアレルゲン食物を少量ずつ4090分の間隔で摂取。
     誘発症状がないことを確認して帰宅 
④ 自宅で同食物を指定の量•回数•期間で摂取 
⑤ 数週間後に増量した同食物でOFCを行う
 ・・・
以上を患者さんの状態に応じて数ヶ月間繰り返し、段階的解除を
目指します。

お子さんによっては1年近くかかるケースもありますが、多くのFA
お子さんは完全解除もしくは完全解除に近い状態まで進むことができ
るようです。

もちろん重度のFAのお子さんの場合は慎重な対応が必要ですし、
専門医療機関との連携が必要となるケースもあります。

 http://vc.town.kasuya.fukuoka.jp/syakaifukushi/kidsnet.html

2017年9月15日金曜日

キッズネット10月号

今月(第102号)は『ムンプス難聴』です。

*ムンプス難聴とは、おたふくかぜによる難聴のことです。

9月上旬に2015年〜2016年(2年間)でのムンプス難聴の全国調査結果が
公表されました。それによると2年間で少なくとも336人のムンプス難聴
が確認され、その多くが5歳から12歳の小児であったようです。
また8割以上の方々に高度の難聴を認めており、これらの方々は今後も
日常生活に何らかの支障をきたす可能性があると考えられます。
「全国調査で2年間で336人のムンプス難聴が確認された」というデータ
は身近に感じられないかもしれませんが、キッズネット2月号に書きました
ように昨年度は粕屋地区でおたふくかぜの流行がありました。

ムンプス難聴はおたふくかぜの患者さんの数百人〜千人に1人の割合で
発生すると言われています。有効な対策はワクチンによるおたふくかぜ
の予防しかないため、ワクチンの接種をお勧めします。
世界的にはワクチン接種の徹底により、おたふくかぜはほぼ制圧されて
きています。。。

 http://vc.town.kasuya.fukuoka.jp/syakaifukushi/kidsnet.html

2017年9月11日月曜日

パピーウォーカー講習会


昨日は糸島の九州盲導犬協会で
盲導犬の候補犬(パピー)ひなた(10ヵ月)の
最後の講習会でした。

昨日はハーネスを装着して一緒に歩いてみました。
ハーネスを通してお互いに何を考え、感じているか・・・
楽しいひとときでした。








最近は朝の涼しさもあり快適な散歩となってきました。




来月は修了式です。
あと2ヵ月弱、楽しく過ごしましょう (^_^)


2017年8月21日月曜日

子育て出前講座特別編:ご報告


一昨日、粕屋町社会福祉センターにて
『乳幼児の食物アレルギー』
をテーマにお話しさせていただきました。

ご質問も多数頂きありがとうございました。
僕自身の見解も交えてお答えさせていただきました。

・一般的な考え方
・個別的な考え方

この2つが柱になると考えます。

後者は、お子さんの1人1人の状況によって変わりますので
かかりつけの医師に相談されながら管理されてください。

皆様のお役に少しでも立てていただけたら幸いです。




2017年8月16日水曜日

キッズネット9月号

今月(第101号)は『熱中症』です。

熱中症とは「暑熱環境における身体適応の障害によって起こる状態」です。
スポーツ・仕事中に発症する<労作性>と日常生活で発症する<非労作性>
2つがあり、重症度はⅠ〜Ⅲ度に分類されます。

【Ⅰ度】「めまい、立ちくらみ、顔色蒼白、頭痛、手足のしびれ・冷感・こわ
    ばり」等を認めます。基本的に意識障害は認めないので、
    きつがっていても呼びかけには返答可能と考えられます。
    発汗による体液の喪失と末梢血管拡張作用による脳血流の減少が
    原因と考えられるため、涼しい環境で安静臥床(足を挙上)・
    ぬれタオル等によるクーリング・水分(できれば経口補水液)の
    摂取をさせながら経過観察していきます。

*「頭痛・きつさ」等を認めはじめたら、Ⅰ度の前段階状態と考えられるので、
  このような徴候を認めたら、早目に涼しい環境で休ませましょう。
  症状は時間とともに変化していきます。症状が改善しなければ医療機関を
  受診してください。

【Ⅱ度】Ⅰ度より重症化し、意識障害「反応が鈍い、経口摂取不能」等が
    顕在化してきます。 
    Ⅱ度では高体温による臓器障害が強くなる可能性があり、
    医療機関を至急受診してください。

CPT2という酵素に特定の遺伝子タイプを持っている人では、高温環境下では
 血管障害をきたしやすくリスクが高いとも言われています。


2017年7月18日火曜日

映画鑑賞会の報告

一昨日・昨日と
『いただきます〜みそをつくるこどもたち』
『その後のはなちゃんのみそ汁 GIFT』
の鑑賞会を行いました。

遠方から来ていただいた方もいらっしゃり
大変ありがたく感じました。
僕が言うのも何ですが

ありがとうございました。


「大切なものは自分で創る。
おにぎり一つでも自分で創る。
そんな子どもにしてやりたい」

「イベントではありません。
自分達が食べるものを自分達が創る。
責任ある仕事です」

「一口目は100回噛む」


是非たくさんの方々に観てもらいたい・・・
そう感じた 映画でした。






キッズネット8月号

今月(第100号)は『自分で考える力』です。

おかげさまで 連載100回目の節目を迎えました!

今回は趣向を変えて『自分で考える力』について。

は仕事柄赤ちゃんから中学生までの子ども達と毎日会っています。

「この子は普段家でどんな風にしているんだろう?」
「園や学校ではどうだろう?」
10年後・20年後・・・どんな大人になっているんだろう?」
「そうするとこの子がこれから生きていく上で基盤となる大切なものは
 何だろう?」と考える時があります。

 僕は『自分で考える力』だと考えます。

『自分で考える力』とは “最初からそういうもの” として安易に納得する
のではなく「それは何?それは何故?条件が違えばそれはどうなるの?」
と問いかけるところから始まり、物事を相対的に観るような頭を創ること
によって培われていきます。

細分化された知識を無条件にたくさん覚えるだけでは、
いざという時に役に立たないし、困難な局面に陥った時に踏ん張れません。

「自分で考える力」は他人から教えてもらうのではなく、
自分から問いかけ、自分で考える」ことによってのみ身につきます。

「じゃあお前はどうか?」と聞かれたら、
 僕は「いや・・・できない・・・」 (^_^;)

でもこれからの多様な時代にはそのような考え方が非常に大切になると
思いませんか? 

そうすると子どもではなく、むしろ大人に必要なスキルですね!

 http://vc.town.kasuya.fukuoka.jp/syakaifukushi/kidsnet.html

2017年7月1日土曜日

映画『いただきます』鑑賞会(再掲)

*2週間後となりましたので、改めての案内です。
 まだ若干の余裕があります (^ ^)

 ご存知の方も多いかと思いますが
 映画『いただきます〜みそをつくるこどもたち』は
 福岡のある保育園の一年間を食育をテーマに
 作成されたドキュメンタリー映画です。
  *下記URLをご参照ください。

  〜 くらしがそのまま子どもにつながる
    それが次の子どもにもつながっていく
       You are what you eat.      〜

 昨年この映画のことを知り
 この度鑑賞の機会をいただきましたため
 「興味のある方にも観ていただこう」と考え
 小規模ながら、このような鑑賞会を企画しました。
 ご興味のある方はお気軽に参加下さい。

【日時】716日(日曜日)
    717日(月曜日)祝日
    *両日とも13:00から開始予定です。

【場所】ふたばこどもクリニックの待合室 

【上映映画】
 1.『いただきます』(約65分)
 2.『その後のハナちゃんのみそ汁 GIFT』(約20分)

【鑑賞料】無料

【申し込み方法】
 ・予約制です。
  鑑賞を希望される方は下記アドレスにご連絡ください。
  追ってこちらから返信します。
 ・申し込みのメールには鑑賞される方の
  名前・年齢・鑑賞希望日・連絡先を記載してください。
 ・鑑賞人数には限りがあります。
(人数をオーバーした場合はお断りのメールをいたします)
  
【その他】
 ・上映機器は32インチ程度のTVと外部スピーカです。
 ・子どもさん連れもOKです。(授乳室あり)
 途中退出も可能です。
 ・菓子類等の飲食物の持ち込みは御遠慮ください。
 ・上映会場内での撮影は御遠慮ください。
 ・問い合わせには、メールでの対応とさせていただきます。
  (電話での対応は原則として行いません)

2017年6月16日金曜日

キッズネット7月号

今月(第99号)は『夏かぜ』です。
6月に入り、夏かぜの子どもさんの受診が増えてきたようです。
【夏かぜウイルス】
 かぜのウイルスは寒冷・乾燥を好むため冬に流行することが多いのですが、
 逆に高温・多湿を好むウイルスもいてこれが夏かぜの原因となります。
 エンテロウイルス・アデノウイルス等がその代表で全体では数十種類あります。
【エンテロウイルス感染症】
 咳は比較的軽く、発熱・のどの痛み・体幹や四肢の発疹(突発性発疹のように
 解熱後に発疹が出現することもある)などが特徴です。「エンテロ」とは
 腸の意味であり、下痢・腹痛などのおなかの症状を認めることもあります。
 ・手足口病:手・足の丘疹や水泡, 口腔内の小水疱が特徴. 2011年に大流行.
 ・ヘルパンギーナ:高熱と“のどちんこ”の両脇の水疱が特徴
          のどが痛くて嚥下痛・流涎を認めることもあります.
【アデノウイルス感染症】
 発熱・のどの痛みに加えて、結膜炎を認める場合もあります。
 ・咽頭結膜熱:高熱・のどの痛み・目の充血等を認めます.
        プール熱と呼ばれるが,プール以外でも感染します.
 ・流行性角結膜炎
 以上が代表的な病気で、学校保健安全法で出席停止期間が決まっています。


【対処法】
 他の多くのウイルス感染症と同様に治療薬はないため対症療法で対応します。

 http://vc.town.kasuya.fukuoka.jp/syakaifukushi/kidsnet.html