今月(第152号)は『赤ちゃんと蜂蜜:乳児ボツリヌス症』です。
『赤ちゃんが蜂蜜を舐めましたがどうしたらいいですか?』
と 乳児ボツリヌス症を心配された問い合わせをいただきます.
以下本症のポイントを示します.
ボツリヌス菌は芽胞という硬い種子のような形態で土壌・川に
広く存在します. 真空パック・瓶缶詰中の存在が有名ですが,
野菜・果物等への付着もありえます. ただ芽胞を摂取しても
通常は人間の腸内細菌の働きで菌は増殖できず, ボツリヌス毒素
も産生されずにおわります.
例外的に赤ちゃんは腸内細菌の働きが未熟なため, 毒素が
産生されて発症する可能性があります.
症状は3〜30日の潜伏期間の後に, 3〜5日以上続く便秘を
認め,その後活気低下・哺乳低下へと進展し,
眼瞼下垂・無表情・体幹や手足の麻痺に至る場合があります.
時に呼吸管理が必要な場合もあり, 注意深い観察と対応が
必要なケースもあります.
【蜂蜜が原因?】
蜂蜜を摂取した乳児の本症の発症頻度は不明です.
ただ最近30年間の報告を見ると, 本症と蜂蜜摂取との関連が
明らかな事例は少ないようです.
(ちなみに市販の蜂蜜製品中にボツリヌス菌が混在しているのは
数パーセント以下?という記事を読んだ記憶がありますが・・・)
従って赤ちゃんが蜂蜜を舐めてしまっても慌てずに,
3日間以上続く便秘と 元気がない・哺乳の低下等に注意して
観察し, 気になったら医療機関を受診することをアドバイスし
ています.
*この記事は粕屋町社会福祉協議会が毎月発行
している <かすやキッズネット> の
『まちのお医者さん』に連載中です。
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