2018年12月24日月曜日

キッズネット 1月号

今月(第117号)は『こどもの診療の10年間の変遷(その③)』です。  

【抗生剤の適正使用】
近年の抗生剤に対する薬剤耐性菌の増加と新しい抗生剤の開発の減少を
背景にして、薬剤耐性に関する意識が非常に強くなってきました。
それを受け日本でも厚生労働省のもと委員会の設置・アクションプランの策定、
そして2017年に「抗微生物薬適正使用の手引き」が作成・公表されました。
これによって抗微生物薬、特に抗生剤の使用に関して国が踏み込んだ指針
を出したことになりました。
この「手引き」は現時点では基礎疾患のない学童以上が対象であり、
今後は乳幼児を対象にしたものが策定されていくと考えられます。
以下ポイントを述べます。

★感冒(風邪):
上〜下気道までを含む急性気道感染症であり、副鼻腔炎・咽頭炎・気管
支炎までを含む。発熱の有無は問わず、鼻症状(鼻水・鼻づまり)
咽頭症状(のどの痛み)、下気道症状(咳・たん) 3つの症状が同時・同程度
存在する。抗生剤を投与しないことを推奨する。

★急性気管支炎:発熱や痰の有無は問わず、咳を主症状とする。
成人においては抗生剤を投与しないことを推奨する。
(小児呼吸器感染症ガイドラインでは全例には抗生剤の投薬は必要ではないと
 記載あり)

*私見ですが、「適正使用」なので「使う」「使わない」の2択ではなく、
 投薬の根拠を考える趣旨であろうと考えています。いずれにせよ抗生剤
 の使用に関して大きな転換期を迎えたと感じます。

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