2016年5月20日金曜日

キッズネット6月号

今月(第86号)は『乳児の繰り返す嘔吐』です。

今回も?私見を交えて書かせていただきます。「赤ちゃんがよく嘔吐します。大丈夫でしょうか?」という質問を親御さんから受けます。僕は、まず大まかな重症度(緊急度)を評価するために、
吐物の内容 ②嘔吐前後での機嫌の良し悪し悪し ③赤ちゃんの月齢 を参考にします。

吐物の内容とは「母乳・ミルクを吐くのか? 黄褐色〜緑色の液体(いわゆる胆汁様吐物)を吐いているのか?」です。もし後者の胆汁様吐物の場合は緊急性が高い可能性があるため、慎重かつ迅速な対応が必要と考えます。

嘔吐前後での機嫌の善し悪しとは、嘔吐の前後で普段と変わりなく機嫌が良好な場合は、緊急性が低い生理的嘔吐・溢乳の可能性を考え、生後3ヶ月位で改善する見通しをたてて経過観察します。
もし嘔吐前後で機嫌の悪さがある場合は、③赤ちゃんの月齢を確認します。
生後2、3ヶ月までであれば胃軸捻転の可能性を想定し経過観察します。それ以降の月齢であれば、ウイルス性胃腸炎の可能性や、頻度は少ないですが緊急性の高い腸重積の可能性も検討していきます。

また嘔吐症状に「生後2週位から・哺乳の度に頻回に・多量の噴水状の嘔吐」という病歴のある生後1〜2ヶ月の赤ちゃんでは肥厚性幽門狭窄症の可能性も考えていきます。

各疾患の内容については割愛しますが、「吐物の内容が母乳・ミルクであり、嘔吐の前後で普段と変わりなく機嫌が良好」な場合は緊急性は低いと考え、経過観察しながら判断する方針で良いと考えます。


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