今月(第164号)は
『『赤ちゃんと蜂蜜:乳児ボツリヌス症』です。
『赤ちゃんが蜂蜜を舐めましたがどうしたらいいでしょうか?』
と 乳児ボツリヌス症 を心配される問い合わせを時々いただきます.
以下本症のポイントを示します.
ボツリヌス菌は芽胞という硬い種子のような形態で土壌・川に
広く認めます. 真空パック・瓶缶詰中の存在が有名ですが,
野菜・果物等への付着もありえます. ただ芽胞を摂取しても
通常は人間の腸内細菌の働きで菌は増殖できず, ボツリヌス毒素
も産生されずにおわります.
例外的に赤ちゃんは腸内細菌の働きが未熟なため,
毒素が産生されて発症する可能性があります.
症状は3〜30日の潜伏期間の後に, 3〜5日以上続く便秘を認め,
その後活気低下・哺乳低下へと進展し, 眼瞼下垂・無表情・体幹や
手足の麻痺に至る場合があります. 時に呼吸管理が必要な場合も
あり, 注意深い観察と対応が必要なケースもあります.
*蜂蜜が原因?
蜂蜜を摂取した乳児の本症の発症頻度は不明です.
ただ最近30年間の報告を見ると, 本症と蜂蜜摂取との関連が明ら
かな事例は少ないようです.
ちなみに市販の蜂蜜製品中にボツリヌス菌が混在しているのは
数パーセント以下?という記事を読んだ記憶がありますが・・・
従って赤ちゃんが蜂蜜を舐めてしまっても慌てずに,
3日間以上続く便秘 と 元気がない・哺乳の低下 等に注意して観察
し, 気になったら医療機関を受診することをアドバイスしています.
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