ふたばこどもクリニック
〒811-2308 福岡県糟屋郡粕屋町大字内橋300-1-A TEL:092-957-1021
2024年4月12日金曜日
2024年3月22日金曜日
2024年2月22日木曜日
2024年1月19日金曜日
かすやキッズネット2月号
今月(178号) は『熱性けいれん』です。
ガイドライン(2023)を踏まえて要点を述べます。
【救急車を呼ぶタイミング?】
けいれん発作や意識がはっきりとしない状態が
5分以上続く場合には
薬物による治療を考慮するため
救急車を呼ぶタイミングの目安となります。
もちろん、判断に迷う場合や
5分以内の発作であってもその後の
意識の回復がはっきりしない状況が
続く場合も同様と考えます。
【熱性けいれんを複数回認めるが大丈夫?】
熱性けいれん歴のある子どもの多く(90%以上)は
てんかんを発症することはありません。
ただ数パーセントの子どもさんには
『てんかん』を発症するケースもあります。
*熱性けいれんを複数回認めた後に
「てんかん」を発症した場合、
これは 熱性けいれん➡『てんかん』
へ進展したのではなく
もともと『てんかん』の素因を有する者が
“顕在化”したものと考えられます。
よって熱性けいれんの再発予防が
てんかん発症を予防するものでもありません。
【熱性けいれん後のワクチン接種時期?】
基本的に接種当日の体調に留意すれば
全てのワクチンを速やかに接種できます。
ただしけいれん発作が15分以上あった場合や
個別に注意が必要なケースもありますので
医療機関にご確認下さい。
*この記事は粕屋町社会福祉協議会が
毎月発行している<かすやキッズネット>
の『まちのお医者さん』の欄に連載中です
2023年12月22日金曜日
かすやキッズネット1月号
今月(第177号)は『保険診療』です。
新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
今回は堅めのテーマです。
医師=「保険医」が行う診療行為(保険診療)は
“療養担当規則”というルールに則って行われます。
この“療養担当規則”では
「各種検査は診療上必要が認められる場合に行う」
とあります。
必要な検査項目を選択し
段階を踏んで検査を行うことが推奨されています。
例えば親御さんから「△△が流行っているので
検査を希望する」要望があっても
患児の症状(重症度)・経過・
見通し等もあわせて総合的に勘案して
検査の適応を判断します。
たしかに検査の適応の判断は難しいのですが
不顕性感染の可能性まで考えて
検査を際限なく行ってしまうと
日本の保険診療は破綻してしまいます。
限りのある医療資源の中で
患児の病態に即した診療を目指していきたい
ものです。
*この記事は粕屋町社会福祉協議会が
毎月発行している<かすやキッズネット>
の『まちのお医者さん』の欄に連載中です
2023年11月26日日曜日
かすやキッズネット12月号
今月(第176号)は『ウイルス性胃腸炎』です。
11月中旬になり(原稿記載時)
朝晩は肌寒さも感じてきました。
インフルエンザに加えウイルス性胃腸炎の
お子さんも増えてきました。
代表的なウイルスはノロウイルスで
感染力が強く吐物・便等のウイルス汚染物
との接触・経口感染によって発症します。
症状は嘔吐・下痢・腹痛・発熱・悪寒・だるさ等です。
抗ウイルス薬がないため経口摂取を制限しながら
少量ずつの経口補水や症状を緩和する対症療法で
様子をみていきます。
発症後6〜8時間程度は症状が強いため
その間は水分も含めた経口摂取を制限します。
吐き気が落ち着いてきたら少量の水分
から与えていきます。
ポイントは
・本人が欲しがっても、少量ずつ与えていく
・小さじ(5mL程度) 2〜3杯程度から与えていく
・白湯やお茶でもいいのですが
適度の糖・塩分を含むものが吸収が良く
身体にとっては望ましいです
*果汁入のジュース、ゼリーや果物のすり下ろし
市販の経口補水液など
発症後半日近く経過すると
多くのお子さんは症状のピークを過ぎ
2〜3日程度で治っていく事が多いようです。
2023年10月20日金曜日
かすやキッズネット11月号
今月(第175号)は
『インフルエンザワクチン』です。
10月から インフルエンザワクチン 接種が医療機関で
開始されていると思います。
(今冬はコロナウイルス感染症との
同時流行も懸念されています)
【人間の免疫システム】
過去にインフルエンザの既往があっても感染して
しまうケースがあるように
そもそも人間の免疫システムがインフルエンザウイルスの
抗原変異に十分に対応できて
いないことが考えられます。
【ワクチンの効果】
現行の不活化スプリットワクチンでは
自然免疫系への刺激がなく
細胞性免疫の誘導ができないため
インフルエンザ感染歴が少ない乳幼児にはワクチンの
効果が限定的な傾向にあります。
またワクチンの製造過程での抗原性の変異による
有効性の低下(卵馴化)も指摘されています。
*今年のノーベル賞でも話題になりました
新しいmRNAの技術を使った
新しいワクチンの治験中であり
実用化が期待されています。
【同時接種】
インフルエンザワクチンとコロナワクチンとの
同時接種は可能です。
(インフルエンザワクチンとコロナワクチンの接種間隔に
特に制限はありません)
*この記事は粕屋町社会福祉協議会が
毎月発行している
<かすやキッズネット> に連載中です