2020年12月17日木曜日

かすやキッズネット 1月号

今月(141)『新型コロナウイルス感染症(COVID19)』です。

 

新年明けましておめでとうございます。

今年も粕屋町社会福祉協議会のお許しを得て

細々と連載予定です。


さて福岡県では10/8に解除された「福岡コロナ

警報」が12/12に再発動されました。

指定感染症(2類感染症相当)であるため慎重な

対応が必要ですが、過剰に反応せずに冷静に

対応しましょう。


現時点での小児のCOVID19に関する臨床像は

①無症状〜軽症者が多い 

②小児からの感染の広がりは少ない 

③小児の感染の大部分は家族内感染

 (小児での孤発例は少ない)

     のようです。


*以下私見です。


様々な要因があるためCOVID19の感染を

完全に制御することは困難です。

今後も患者数(正確にはPCR陽性者数)は増える

でしょう。ただ感染対策は特別な方法ではなく、

個人が徹底して行えば感染のリスクは低いと

考えます。

また感染・発症しても多くの人は軽症です。

大切なことは身近にいるハイリスク者への配慮です。


“医療崩壊” が世上喧しいです。

全ての資源に限りがあるように、医療資源に

も限りがあります。今回に限らずこれまでも

限られた資源の中で医療関係者はやり繰り

して医療サービスを提供してきました。

ただ今回のような制約が厳しいCOVID19へ

の医療対応では、もっと緊急性が高い・

重症度が高い疾患への対応ができなくなる

のは当然です。


日々の患者数の推移、ましてや Go to 云々

よりもっと根本的なことへの議論をなすべき

ではないかと思います。


医療資源には莫大な公費が投入されています。

資源捻出のためにどこかにしわ寄せが行くの

ではなく、大局的・現実的な判断が望まれま

す。


http://vc.town.kasuya.fukuoka.jp/syakaifukushi/kidsnet.html


2020年11月14日土曜日

かすやキッズネット12月号

 今月(第140号)は『『食物経口負荷試験』です。
                             
私のクリニックでは食物アレルギー(FA)のお子さんを対象に
月に数人のペースで経口食物負荷試験(OFC)を行って
います。

ガイドラインでは原因食物の厳格な除去ではなく
「必要最小限の除去」を推奨しており、
「症状を誘発しない・食べられる範囲までは食べる」
を奨めています。従ってFAのお子さんには
OFCを行い食べられる量を推測し、少しずつ摂取量
を増やしていく」という段階的解除を行っています。

以下に私のクリニックでのOFCの流れを簡単に記します。
①  即時型症状に関する問診
② OFCの適応ありと判断したらOFC説明・同意、
  OFCの予約
③ OFC当日はアレルゲン食物を少量ずつ摂取。
  90〜120分程度経過観察し、
  誘発症状がないことを確認して帰宅
④ 自宅で同食物を指定の量•回数•期間で摂取
⑤ 数週間後に増量した同食物でOFCを行う
  ・・・・・・・

以上を患者さんの状態に応じて数ヶ月間繰り返し、
段階的解除を目指します。

お子さんによっては1年近くかかるケースも
ありますが、多くのFAのお子さんは完全解除・
完全解除に近い状態まで進むことができます。
もちろん重度のFAのお子さんの場合は慎重な対応
が必要ですし、専門医療機関との連携が必要となる
ケースもあります。

2020年10月14日水曜日

かすやキッズネット11月号

 今月(第139号)

『ワクチンの接種間隔の変更』です。

101日からワクチンの接種間隔のルールが緩和

されました。異なるワクチンを接種する場合、

多くのワクチンの接種間隔の日数制限がなくなり

ました。

ただ例外となるケースは2つあります。


異なる注射タイプの生ワクチンを接種する

 場合:従来どおり4週間以上の間隔をあけます。

  (注射生ワクチン:MR・水ぼうそう・おたふく・

         BCGなど)


*同じワクチンを接種する場合:従来どおり

 規定された接種間隔を守ります。



★今の時期はインフルエンザワクチンを接種するお子さんが

 多いと思いす。

 例えばこれまではMRワクチンを接種した後は

 4週間以上間隔をあけないとインフルエンザワクチンが

 接種できませんでしたが、

これからはMRワクチンを接種した翌日に

インフルエンザワクチンが接種できるようになりました。

逆にインフルエンザワクチンを接種した翌日に、

他のワクチンの接種もできるようになりました。



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2020年9月15日火曜日

かすやキッズネット10月号

 今月(第138号)

『ロタウイルスワクチン が定期予防接種へ』です。

ロタウイルスワクチンが10月から定期予防接種になります。


【対象者】

 令和281日以降に生まれた乳児


【定期接種として開始される時期】

 令和2101


【ワクチンの種類と接種時期・接種回数】

 ワクチンには2種類あり、原則として同じワクチンを

 所定の回数接種していきます。

 *途中で他方のワクチンへの変更は原則として

 できません

 (どちらのワクチンも同様の効果が確認されて

  います)


     接種時期   接種回数 接種間隔

ロタリックス 生後6週〜24週  2回   4週間


ロタテック 生後6週〜32週  3回   4週間



【注意点】

・間違いを減らすために

 生後2ヶ月から他のワクチン (ヒブ・肺炎球菌・

 B型肝炎ワクチン等)との同時接種で スタートする


・ワクチンの副反応(まれではあるが腸重積)の

 可能性を 減らすために1回目はできるだけ

 生後146(およそ生後3ヶ月半)までに行う


*不明な点は粕屋町健康センター・医療機関へ

 問い合わせ下さい。


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2020年9月4日金曜日

小学校の内科検診

例年は4〜6月に行う小中学校の健康診断が

新型コロナウイルス感染拡大防止のため

延期されていましたが

ようやく開始となりました。

僕も校医をさせていただいている小学校の

内科検診に行ってきました。

1年生5クラス、6年生4クラス と

年々町内の児童数が増加してきていることを

実感します!

お土産もいただきました。

ありがとう!



2020年8月13日木曜日

かすやキッズネット9月号

 今月(第137号)は『新型コロナウイルス感染症の検査』です。

 

現在新型コロナウイルス感染症の検査は、希望する方が無条件に

できる訳ではありません。以下簡単にまとめてみました。

なお8月上旬の状況であり、今後状況が変わりうることを

ご了承下さい。


【行政検査】

 ・疑わしい症状・根拠があり医療機関や保健所が検査の

 適応があると判断した者.

症状がなくても感染者と濃厚接触があると判断され

 た者. 

勤め先等において感の染リスクが高いと判断された者.


このような方々に対して保健所が主体となって検査を

行います. 検査費用は公費負担です.

 

【保険診療】

 疑わしい症状・根拠があり医療機関が検査の適応がある

 と判断した者に対して保健所を介さずに検査を行います.


検査法はPCR検査・ウイルス抗原検査(定性・定量があります.

精度の高いPCR・ウイルス抗原定量検査では特殊な検査装置が

必要なため, 検体を検査機関へ輸送する事が多いようです.

ウイルス抗原検査(定性) は, 前述の検査法に比べて感度がやや

低く, また唾液では検査ができません. ただ特殊な検査装

を必要とせず, 30分もあればその場で判定できます.

保険診療としての自己負担金があります.

現時点では検査できる個人医療機関は少ないと思います.


*医療機関側には感染防御対策が求められる.

*医療機関と自治体との契約が必要.

*多くの小児科医療機関は小児科外来診療料(包括算定)

 で算定しており, 現行の保険診療では課題がある.  


【自費診療】

 疑わしい症状・根拠がなく保険診療の適応はないが,

検査を希望する方に対する検査です.

保険診療ではない(自費診療)ため検査費用

全額自己負担となり,1万〜数万円程度かかるようです.

検査結果に関しては, 十分な理解・対応が必要です.


【個人的な感想

・僕は新型コロナウイルス感染症の感染力・重症度は

 季節性インフルエンザと同程度だと考えています.

・COVID19を軽んじているわけではありません.

「冬場のインフルエンザシーズンに緊張感を持って臨む」

 対応と同じだと考えています.

・ただ現実問題として, 指定感染症 (2類感染症相当)

 である限りはそれなりの配慮も必要ですが.

・感染力 (これも曖昧な言葉ですが・・・) は, 

社会集団の免疫状態に左右されますし, 

個人の免疫能や感染防御への配慮で左右されます. 

そういう多要因への考察がなされるべきですが, 

日々の報道ではあまりなされていません.  

無症状者に無条件に検査をやるべきではないと考え

 ます. 社会的・個人的なリスクを鑑みて検査の適応を

 判断すべきだと考えます. 

 「検査陰性」の場合, 今後の罹患の可能性?

 「検査陽性」の場合, 今後の再感染可能性?

  ➡ 際限ない検査・・・?

    適応を考えながら、検査を行うべきと考えます.


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2020年7月17日金曜日

キッズネット8月号

今月(第136号)は『夏かぜ』です。
                            
7月に入り、夏かぜの子どもさんの受診が増えてきました。

【夏かぜウイルス】
かぜのウイルスは寒冷・乾燥を好むため冬に流行することが
多いのですが、逆に高温・多湿を好むウイルスもおり、
これが夏かぜウイルスです。エンテロウイルス・アデノウイルス等が
その代表です。

【エンテロウイルス感染症】
咳は比較的軽く、発熱・のどの痛み・体幹や手足の発疹
(突発性発疹のように解熱後に発疹が出現することもある)
が特徴的です。下痢・腹痛などの消化器症状を認める
こともあります。
手足口病:手・足の丘疹や水泡、口腔内の小水疱が特徴
ヘルパンギーナ高熱と“のどちんこ”の両脇の水疱が特徴。
  よだれ・嚥下痛が強い時もある)などが代表的な病気です。

【アデノウイルス感染症】
発熱・のどの痛みに加えて、結膜炎を認める場合もあります
咽頭結膜熱:高熱・のどの痛み・充血などを認める。
   プール熱とも呼ばれますがプール以外でも感染します。
流行性角結膜炎
*それぞれ学校保健安全法で出席停止期間がきまっています。

【対処法】
他の多くのウイルス感染症と同様に治療薬はないため
対症療法で対応していきます。

2020年6月17日水曜日

かすやキッズネット7月号

今月(第135号)は『ビッグデータは疑ってかかる』です。
                            
新型コロナウイルス感染症に関わる緊急事態宣言が解除され
1ヶ月が経過しました。最近は流行の第2波に備えて
無症状者にも積極的にPCR検査を行う論調を散見します。

メディアは新型コロナウイルス感染者の流行状況をPCR検査の
陽性者数で推測しているようですが、PCR検査の特性を
考えながら注意深く見ていかないと、数字ばかりが一人
歩きし現実と乖離していきます。

・PCR検査の感度・特異度への理解
・検査対象者の条件
・検査陽性者数のみではなく陰性者数や陽性率
陽性者のバックグラウンドの検証
・必ずしもPCR陽性≠感染力がある訳ではない(*注)
・無症状の陽性者の感染力
  ・・・ 
等を細かく検証しないと流行の推移はわかりません。

*注:PCR陽性であっても, ウイルス培養では陰性で
   活性が認められない場合がある.

僕は2016年度の糟屋地区のおたふくかぜの流行状況を
調べましたが、調査対象者・陽性者・陰性者を注意深く
見ないとデータの評価は難しいと痛感しました。
「ビッグデータは疑ってかかる」〜十分な検証をしないと
世の中がミスリードされる〜 懸念があります。

多くの非専門家の方々が躊躇いもなく大きな声で主張
され、世論が形成されていることに違和感を感じます。

ちなみに僕は新型コロナウイルス感染症の重症度(死亡率)
感染力は、当初の予測と大きな差異はないと考えます。


2020年5月15日金曜日

かすやキッズネット6月号

今月(第134号)は『粕屋町の予防接種助成事業』です。

粕屋町では独自の予防接種費用助成事業が行われています。
対象の方はご検討されたらいかがでしょうか?
要点のみを記載しているため、詳細は「粕屋町健康づくり課」
にお問い合わせください。

★麻しん予防接種
・対象者:町内の児童福祉施設等(公立・民間を問わない)
     乳幼児と接する職員(職員の居住地は問わない)
・助成金額:接種者一人あたり5,000円を上限(償還払い)

★風しん予防接種(クーポン券が発行された定期接種ではない)
・対象者:粕屋町に住民票があり被接種者の*風しん抗体値
     の低値が確認できる妊娠希望者もしくは妊娠希望
     者・妊婦の配偶者 (パートナーを含む)・同居者
・助成金額:接種者一人あたり5,000円を上限(償還払い)
(注) 風しん抗体検査は福岡県の事業で無料で実施されて
        います. 118号でも掲載していますが
   詳細は「福岡県HP」を参照下さい.

★おたふくかぜ予防接種:
  紙面の都合上130号を参照下さい _(._.)_



2020年4月18日土曜日

かすやキッズネット5月号

今月(第133号)は『食物アレルギー』です。
                                   
日々の診療で問い合わせの多い食物アレルギーです。

以下にポイントを述べますのでご参考に下さい。

① 食物アレルギーの全体像はまだ十分には解明されていません
  最近は免疫学的知見から 経口免疫寛容・腸内細菌などが
  トピックのようです。
② 食物アレルギーは1人1人の発症様式・経過が異なるため
  患者さん毎に個別に対応していきます。
③ 採血による特異的IgE検査は不確実な側面があります。
  一部のコンポーネントアレルゲンの特異的IgEにのみ限定的な有用性
  が確認されているのが現状です。
  診断で最も重要なのは詳細な問診(摂取歴)です。
④ 原因食物の厳格な除去ではなく「必要最小限の除去」が推奨
  されてています。「症状を誘発しない範囲内で食べる」
 「食べられる範囲までは食べる」ことが推奨されています。
⑤ 「食物負荷試験を繰り返しながら、少しずつ制限解除を進め
  る」という段階的解除が主体となってきています。

★ 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、福岡県でも緊急事態宣言が
  発令されました。私どものクリニックでもクラスター対策を日々検討
  しながら診療を行っています。
  手洗い・うがい・マスク・3密の回避を意識し、
  規則正しい生活を心がけましょう。

2020年3月18日水曜日

かすやキッズネット4月号

今月(第132号)は『赤ちゃんの予防接種のポイント』です。
                             
新年度になりましたので、ポイントをおさらいします(^ ^) 

    生後2ヵ月からスタートしましょう。

② 接種できる時期が来たら早目に接種しましょう。
 *赤ちゃんは感染症に対する免疫力が低いため推奨される
  時期になったら速やかに接種して早目に免疫を確立させ
  ましょう。

③ 接種時期に注意しましょう。
 *以下のワクチンでは気をつけましょう.
  ロタウイルスワクチンの1回目は生後146日までに接種する.
  4種混合ワクチンの1回目は生後3ヵ月から接種開始する.
  B型肝炎ワクチン(定期接種分)3回目1回目の接種から
  139日以上あけて1歳の誕生日の前日までに接種する.
  BCGは生後5ヵ月から1歳の誕生日の前日までに接種する.

④ できるだけ同時接種で行いましょう。

☆予防接種には定期接種・任意接種があり、接種時期が細かく
  規定されているものもあります。
  不明の点があれば医師にご相談下さい。

☆本年10月よりロタウイルスワクチンが定期接種になる予定です。
本年8月以降に生まれる赤ちゃんが対象のようです。
 詳細は改めて、キッズネットにてお知らせします。