2015年5月24日日曜日

キッズネット6月号

今月(第74号)は『食物アレルギー』です。
食物アレルギーに関してはまだその全体像が解明されていないため、現在の食物アレルギー診療の目的は食生活の管理であろうと考えます。診断に関して言えば、血液中の特異的IgE値の検査を希望されることがありますが、データと症状が一致しないこともあり、現時点では本値は不確実な物差しでしかないと考えられています。従って診断は、現実に食事を摂取した際の即時型症状の誘発の有無という<病歴>が一番の根拠になると考えられ、特異的IgE値はそれを裏付けるツールと考えます。食物アレルギー患者さんの多くは中等症以下であり、数年で軽快していきます。しかし症状・経過は個人差が大きいため、どうしても過度の検査・食物摂取制限の傾向があります。現在の食物アレルギーガイドラインでは原因食物の厳格な除去ではなく、「必要最小限の除去」を推奨しており、「症状を誘発しない範囲内で食べる」指導を認めています。従って多くの患者さんにおいては、食物負荷試験で耐性の程度を評価しながら、少しずつ制限解除を進めるという、管理が主体となってくるのです。(もちろん少数ではあっても重症の患者さんには厳密な管理が必要です)私個人は食物アレルギーの診療は、管理の「道しるべ」をいかに示せるかにつきると考えています。

0 件のコメント:

コメントを投稿